はいどうもアバ太郎です
本日はフランスのサッカーサン
テグジュペリの星の王子さまを紹介いたし
ますどんな作品かと言いますと人生の
あらゆる悩みに答えてくれる20世紀
フランス文学を代表する世界的名著です
特に人と関係を築くことに
苦手意識のある方
毎日忙しすぎて
心に余裕がなくなっている方自分の人生の
方向性が定まらず
本当にこのままでいいのかと
迷っている方にぜひ手に取っていただき
たい一冊ですまた1943年に発表されて
以来
世界の総販売部数はなんと2億冊を超え
さらに戦後のベストセラーランキングでは
聖書とマルクスの資本論について
第3位につくなど
未だに驚異的な人気を誇っています一体
なぜ星の王子様はこんなにも多くの人から
長く愛され続けているのでしょうかその
大きな理由の一つはこの作品がただの自動
文学でではなくお隣になればなるほど
味わい深くなる哲学的な寓話だからです
しかしその一方で
子供向けだと思って読んだけどとても
難しかったとかあらすじは知っているけど
何がそんなに面白くてどこがためになるの
かがいまいちよくわからなかったとか
苦戦される方も非常に多いと言われてい
ますそこで今回はこの名作のストーリー
だけではなくその背景についても考察をし
ながらなるべく皆さんの実生活に役に立つ
ような解説をしていきたいと思いますお茶
でも飲みながらリラックスしてどうぞ最後
まで楽しんでいってくださいそれでは参り
ましょうサンテグジュペリ星の王子様さあ
まずはこの動画の全体像からを示しいたし
ます
初めに背景知識として
著者について簡単に紹介しその後本書の
内容を
心に余裕がない大人
星めぐりの教訓
断ち切ってはいけない絆という3つの
テーマに沿って進めていき最後に
ブックコミュニティリベルの募集にパズル
を知らせをして動画を終えたいと思います
この作品は
テーマが多様であり
様々な解釈ができるのですが今回の動画で
は
初めて読む方や
読んだけど挫折してしまった方あらすじは
知っているけれど何が言いたいのかよく
わからなかった方のための手引きとなる
よう比較的
オーソドックスな読み方をしていきます
またサンテグジュペリの著作はどれも自伝
的なものなので
彼が辿った人生や時代背景を抑えておく
ことが
作品を読み解く上でとても重要なポイント
になりますそのため前半パートも
是非注意深く聞いていただけたらと思い
ますさあでは早速背景知識から見ていき
ましょう
アントワールドサンテグジュペリ彼は
1900年フランス南部の都市リオンで
貴族家庭の産卵として誕生しました
美しいブロンドの髪が特徴であったため
家族から太陽の王様と呼ばれとても可愛
がられたと言います4歳の時に
父親が他すると一家は母親の親戚が所有
する城サンモーリスドレマン城で暮らす
ことになりますその周りには
多くの自然があふれ子供たちは
多様な植物や動物たちと触れ合いながら
心豊かに成長していきましたまた
サンテグジュペリは幼少期に蒸気機関に
乗せてもらって以来
乗り物にとても興味を持っておりいつか
自分も
鳥のように羽をつけ大空を自由に飛びたい
という夢を抱いていましたそして12歳を
迎えたある日のこと彼は城から数キロ離れ
た飛行場へ遊びに行きなぜ飛行機は飛ぶの
かどうやって操縦するのかと目を輝かせ
ながらパイロットに話しかけました
無邪気に質問する少年に
心を動かされたのかパイロットの男は
特別に彼を飛行機に乗せ
飛行場の上空を2周回りました
ちなみにライト兄弟が人類初の動力飛行に
成功したのが
9年前のことですので
当時はまだ飛行機の安全性が低くその行動
は危険極まりないものでしたしかしこの
体験こそが彼の空を飛ぶことへの情熱に火
をつけ
後の偉大な創作へと繋がっていくのです
1914年第一次世界大戦が勃発すると
サンテグジュペリは親戚からの勧めで戦火
の及ばないスイスの学校に転向そこは
見晴らしの良い高台にあり白銀のアルプス
が望める風光明媚な場所でしたそんな自然
豊かな環境の中でサンテグジュペリは文学
に目覚め
バルザックドストエフスキーボード
レールなどの作品に親しむようになって
いきました1921年兵役が始まると
彼は航空隊を志願そしてフランス北東部
ストラスブールの
第二航空連隊に配属されますそこでは主に
滑走路の石を拾うといった仕事や
雑務などが任せられ
飛行機の操縦どころか期待に触れること
すら許されていませんでしたそうしたらか
彼の頭の中で
少年時代のの体験が蘇ります
サンテグジュペリはたとえどんな手を使っ
てでも自分はパイロットになるのだと覚悟
を決めましたそして
母親に頼み込んで大金を狩りまずは民間の
航空ライセンスを取得その上で
航空隊長や司令官に
自分を飛行訓練生にしてほしいと何度も直
談判を行いしかしそれでも許しが得られ
なかったためなんと彼は親族の
コネクションを使って圧力をかけるなど
ありとあらゆる手段を講じましたその結果
ついに軍の上層部が思い越しを上げ飛行
訓練生として受け入れることを承諾ただし
本件は前例のないことであったため一切
多聞してはならないという条件付きであっ
たと言いますこのようにサンテグジュペリ
は
空を飛びたいという情熱と
積極的な行動によって
操縦士になる道を切り開いたのです
兵役が終わるとフランスの航空会社に就職
し郵便輸送機を操縦するパイロットとして
活躍やがて彼はアルゼンチンでの営業責任
者となり南米大陸に新たな航空ルートを
開拓する業務に従事しますそして
南米での勤務が終わろうとしていた
1930年の秋サンテグジュペリはある
女性との運命的な出会いを果たしますそれ
がこの方
コンスワロスンシン
彼女は中米エルサルバドル生まれの美しい
未亡人で文章もかけてさらに海外や彫刻
なども嗜む文化的素養のある人物でした
性格は自由奔放でプライドが高く長所を怒
りっぽいところもあったようですが
サンテグジュペリはそんな彼女の独特な
魅力に惹かれていきやがて二人は結婚
生涯の伴侶となりますまたちょうどその頃
サンテグジュペリは小説
夜間飛行を発表
作家として大きな成功を収めます
名前が売れていくにつれて
忙しさが増していった彼は
家に帰らないことも多くたびたびコース
やろとも衝突
別居なども経験し何度も離婚の危機に直面
しようですが最後まで二人の関係が切れる
ことはありませんでしたしかしその一方で
サンテグジュペリの飛行士としての
キャリアには少しずつ陰りが見え始めてき
ますなんと勤めていた航空会社が
過剰な投資と世界恐慌による金融市場の
崩壊によって
経営が立ち行かなくなり現在のヨーロッパ
航空大手であるエールフランスに吸収され
てしまうのですこれによって
サンテグジュペリも含めた社内の上層部は
全員が責任を取って会社を去ることになり
ましたその後サンテグジュペリは祖国
フランスで
水上飛行機の鉄とパイロットという職を得
たものの
就職して間もなく事故を起こし
命を落としかけます
彼にとってこれが人生3度目となる大事故
だったそうですがこのように当時の
パイロットは
常に使徒と隣り合わせだったのですしかし
そんなトラウマになるような出来事があっ
ても彼は空を飛ぶことは諦めませんでした
それどころかさらなる冒険を求めより危険
な方へとより困難な方へと進み1935年
友人の整備士アンドレとともに多額の賞金
がかかったパリサイゴンカンの最速飛行
記録に挑戦するのです2人の飛行機は勢い
よく飛び立ちこれまでの記録を上回る
ペースで進んでいきましたところが出発
から約20時間後分厚い雲が彼らの期待を
飲み込みそのままエジプト領のリビア砂漠
に墜落これによって期待は大破してしまい
ますがなんと2人とも奇跡的に無傷という
幸運に恵まれますただこれで喜んではい
られません
事故の衝撃で
飲料水や食料品が散らばってしまい
命をつなぐものが
ほとんど残されていなかったのです
午前2時
静寂と暗闇に包まれた砂漠の中で
死を覚悟した2人は
期待に衣装を残し星の光だけを頼りに
歩き続けましたそれから数日後
彼らに二度目の奇跡が起こりますなんと
視界の先にラクダに乗った国民が現れたの
ですサンテグジュペリはたまたま覚えてい
た
片言のアラビア語で力の限り叫んで助けを
求め二人は九死に一生覚えますこれによっ
て
飛行レースは失敗に終わってしまいました
が
彼らの挑戦とドラマチックな生還は
国中で大きな話題となりたくさんの人々を
勇気づける結果となりましたその翌年
ドイツのポーランド信仰をきっかけに
第二次世界大戦が始まるとサン
テグジュペリは軍に招集され
航空部隊の一員として
偵察飛行任務を任せられますしかし
実際に戦闘が始まると高性能の軍用機を
保有するドイツ軍に
全く歯が立たずフランス軍は戦闘から約1
カ月で降伏さらに
国内では内戦が始まり
誰が敵で
誰が味方かもわからないそんな
混沌とした状況となっていきましたそうし
たらかサンテクジュペリはアメリカ軍が
参戦しない限りはこの戦争は終わらない
また祖国フランスも
取り戻すことができないと判断そして船で
大西洋を越えアメリカニューヨークへと
向かったのですただ現地に着いたものの彼
は英語も話せない
知り合いもいない
操縦できる飛行機もないという状態であっ
たため
自分の存在価値を見失い強い孤独感に
悩まされるようになります
自分は何者でもないそのことに気づいた
サンテグジュペリは
子供の時に遊んだ場所や
感激したことなどに思いを馳せました
そして小さな箱入りの水彩絵の具を買い
金髪の男の子を主人公とした
挿絵入りの本を書き始めたのですそれは
故郷の星を離れた一人の少年が
様々な冒険をし大切な気づきを得て
星へ帰っていくという
美しい物語でした
星の王子さまそう名付けられたこの作品は
1943年にアメリカで出版されると
300以上の国と地域の言葉に翻訳され
たちまち世界的ベストセラーとなったの
ですいかりも自動向けといったタイトル
ですがサンテグジュペリはこの本の冒頭で
親友レオンベルトに捧げると書いており
明らかに大人の読者も想定されています
単純そうに見えて
実は奥深いこの不思議な作品の中に一体彼
はどんなメッセージを込めたのでしょうか
さあというわけで背景知識は以上になり
ますそれではいよいよ本編に入っていき
たいと思います一つ目のテーマは
心に余裕がない大人ですでは行きましょう
僕は
ジャングルの冒険をたっぷり想像して
初めての絵を描き上げた
僕の作品の第1号だった出来上がった傑作
を大人たちに見せて
怖いかどうか尋ねてみたすると虎はこう
いったどうして帽子が怖いんだいでもこの
絵は帽子じゃなかった大きな蛇が
ゾウをお腹の中で消化しているところだっ
たんだだから僕は大人たちにもなるように
蛇の内側を描いたあの人たちにはいつも
はっきりとした説明をしないとダメなんだ
作品第2号はこんな感じだった
けれど大人たちは
蛇の内側も
外側もどうでもいいそんな絵なんか描くの
はやめて
地理や歴史
算数や国語の勉強をしなさいと言いつけた
こうして僕は
6歳で絵描きになる夢を
諦めたんだはい
心留めますこの物語は主人公の男性が大人
たちの言動によって
夢を打ち砕かれるという
幼年時代の回想から始まりますそんなこと
をしても
学校の成績は上がらない
将来何の役に立つというんだこういった
心ない言葉によって大人が子供の夢や可能
性を奪ってしまうこれは現実社会ではよく
あることですもちろんサンテグジュペリは
単純に大人という存在を否定しているわけ
でもなければ1枚目の正解を読者に当てて
欲しかったわけでもありません
本当に大切なことは目に見えないという
この作品のキーメッセージを冒頭に伏線と
して貼っているわけですその後絵描きに
なることを諦めた主人公は
飛行機の操縦士となったのですがある時
エンジントラブルでサハラ砂漠に墜落して
しまいますすると目の前に金色の髪の
小さな王子さまが現れ
羊の絵を描いてほしいと訴えてきます
状況がつかめないまま
男は羊を書いてみせるのですが
王子はそれに満足せず何度も書き直しを
要求します最終的に3つの穴が空いた
小さな箱の絵をかきこの中に羊が入って
いると説明したところこういうのが
欲しかったんだとようやく笑みを浮かべ
ます
話を続けていくと
男は状況がつかめてきますこの目の前に
いる小さな王子は
地球人ではなく
遠い小学生からやってきたそこには
バオバブという木が生えており成長すると
星が破裂してしまうので
王子はそれを食べてくれる羊を求めていた
だから彼は何度も何度も
男に羊の絵を描いてほしいと訴えていた
現実的な大人の視点に立てば
飛行機が墜落し
砂漠で遭難しているというこんな緊急事態
にいきなり知らない子供から
絵を描いてくれと言われても今はそれ
どころじゃないと
言いたくなるかもしれませんしかし蓋を
開けてみればそんなどうでも良さそうに
思えることが
実はどこかの星の生命に関わる
重大なことだったのですさらに王子は
羊は棘のある腹を食べることもあるのか
もしそうだとすれば
花のトゲは何のためにあるのかとまたどう
でも良さそうな質問を続けますすると操縦
士の男は
飛行機の修復作業がスムーズに進まない
ことにイライラしながらこう言いました
トゲなんて何の役にも立たない
単に腹が意地悪なんだよこの返答に対し
王子は驚き
黙り込みそしてショックを受けている様子
を現にしましたそれを見た男は慌てて弁明
をします
違うんだ
僕は今
君に適当なことを言ったそんなことよりも
もっと大事なことがあるんだよすると王子
はもっと大事なことって何なのあなたは
大人みたいなことを言う人だ
全部
ごちゃ混ぜにしているそう言って怒り
泣き出してしまいます
彼らは故郷の星には
美しい一輪のバラの腹が咲いており
王子はそれを宝物のように大切にしてい
ましただから彼は
羊がバオバブだけではなくバラバラで食べ
てしまったら大変だと心配していたため
あのような質問をしたのですところが操縦
士の男はそれを直感的に重要ではないと
判断し特に悪気もなく適当な返事をして
王子を傷つけてしまいましたではなぜこう
いったトラブルが起こってしまったの
でしょうかいくつかの要因が考えられます
がここでは2つ挙げておきたいと思います
まず1つは
操縦士の心に
余裕がなかったという点です人は何かに
忙殺されると
相手の表
声のトーンや仕草あるいは相手の言葉の
背景にある情報や
感情などへの配慮を忘れ表面的な言葉だけ
で機械的なコミュニケーションを取りがち
ですところが彼はどんな緊急事態でも平常
心が求められる
操縦士という立場でありながらそのミスを
犯してしまったのです
当時現役のパイロットであったサン
テグジュペリは
心の余裕がなくなると人間は冷静な判断力
も豊かな想像力も失い
悪循環に陥ることをよく理解していました
そのため彼は
二人のミスコミュニケーションの中に現代
の大人たちの世話しなさいや
心の余裕のなさを表現したかったのかも
しれませんそしてもう一つの要因はこの
操縦士の男が
子供の頃の純粋な心を失いかけていると
いう点です
冒頭にあったように
元々彼は
想像力が豊かな子供でしたところが成長と
ともに子供の心を忘れていき
気がつけば幼少期に自分を傷つけたと想像
力のない大人に近づいていたのですそうし
た中
純粋な子供の心の象徴である王子が現れる
と
操縦士の男は
余計な一言によって
彼の逆鱗に触れてしまいますしかしよくか
悪くかそのトラブルが刺激となり
男は徐々に子供時代の心を取り戻し始める
というわけですこのやりとりが終わると
王子が地球にやってくる前の回想シーンが
しばらく続くのですがそこで彼は
自分の薔薇のことについて語り始めます彼
のバラはプライドが高くよく自分のトゲを
自慢したり
寒いから
覆いをかけてほしいと言ったり何かと要求
が多くさらに気まずくなるとよく咳をして
本音をごまかすという実に人間らしい
キャラクター設定になっています
ちなみにこのバラのモデルはサンテク
ジュペリの妻
コンセロと言われているのですが
バラエコールコースやろとかバラエコール
恋人とかバラのイメージをガチッと固定
する必要はありません
自分にとって愛するものというようにバラ
の定義をあえてぼやっとさせて想像力が
働く余白を残しておくとより深く作品を
味わうことができますさて王子はそんな
バラのことを愛していたのですが
次第に彼女の言葉が信じられなくなり
星から離れることを決意しますそして出発
の日に彼は惑星の火山の煤をきれいに払い
最後にもう一度バラに水を与えました
さようならそう言うとバラは小さく咳をし
て
自分がバカだったと謝り
王子を愛していたことを告白しますそして
自慢の4つのトゲを見せ私はこれがある
から一人でも大丈夫さあ行きなさいと
精一杯の強がりを見せ
王子を見送ることになるのですいやいや
この流れで仲直りをしてハッピーエンドで
いいじゃないかなんで王子はバラを置いて
星を出て行ってしまうんだもしかしたら
そう思う人もいるかもしれません
結論から言いますとこの時の王子はまだ愛
とは何だろうか
愛するとはどういうことなのかを知らない
状態であったため
現実から逃げるという
幼い選択肢しか残されていなかったのです
そこで作者であるサンテグジュペリは
あえて小惑星にバラを残した状態で王子を
旅立たせ様々な経験を通して
愛を学ばせようとしたというわけですさあ
ここからいよいよ王子の冒険が始まります
果たして彼はこれからどんな経験をし
どんな気づきを得て成長していくの
でしょうかというわけで2つ目のテーマ
星めぐりの教訓に進んでいきたいと思い
ますでは行きましょう小さな
王子は
自分の知らないことややるべきことを
見つけるためにいくつかの小惑星を訪ねた
最初の星は
王様の住んでいる星だった
王様は
真っ赤な衣と
白い毛皮をまとっていて
シンプルな椅子に
堂々と腰をかけていた
王様は王子を見るなりこういったなんと私
の家来がやってきたすると王子はこう思っ
たなぜ初めてあっ
僕のことを家来だと思うのだろうはい心
食べますまず王子が出会ったのは
王様でした
彼は自分自身を絶対的な存在だと信じ
発する言葉一つ一つが
命令口調という
少々癖のあるキャラクターになります
しかし表面的には立派でも
王様は無力で
孤独な存在でしたなぜなら
彼の住む星には
彼一人しかいなかったからですどんなに見
た目が立派でどんなにお金や権力があって
もそれだけで人は
自分の心を満たすことはできませんこの
サンテグジュペリが描いた王様は人を上
から見下ろしてるようにも見えますがそれ
と同時に
寂しくうつむいてるようにも思えますこの
王様のもとを去った後
王子がたどり着いたのは
うぬぼれやが住む惑星でした
彼は小さな王子を見るやや
遠くからこう叫びました
ほほう私のファンがやってきたぞこの男は
初対面の王子に対し私に拍をしてくれと
言ったり自分を心の底から称えなさいと
言ったりなぜか称賛を欲しがりました
讃えるとはどういうことなのか
王子がそう聞くと
うぬぼれ屋はこう言いましたこの星で私が
一番ハンサムで一番おしゃれで一番お
金持ちで一番賢い人間だと認めるんだこれ
に対し王子はいやでもこの星には
君しか住んでいないじゃないかと
正確なツッコミを入れますすると男はこう
叫びます
俺ガイだとにかく自分を讃えてくれ
彼は孤独をこじらせうぬぼれる以外に
自分を保てなくなった人間を象徴してい
ますだから
心がこもっていなくてもたとえ嘘であって
も
自分の寂しさを埋めてくれる言葉が
欲しかったのですお願いだとにかく自分を
称えてくれそう叫ぶ声は
称賛ではなく
むしろ救済を求めていたのかもしれません
うぬぼれやろ星を旅立つと次に王子がだっ
たのは飲んだくれのおじさんでしたなぜお
酒を飲むのかと聞くとおじさんは
恥ずかしさを忘れるためだと言います何が
そんなに恥ずかしいのかと聞くと
飲むことが恥ずかしいと答えそのまま
黙り込んでしまいます
恥ずかしいからお酒を飲んでいるのにお酒
を飲むことも恥ずかしいそしてどんどん
恥ずかしくなってまたさらにお酒を飲む
まさに悪循環ですもしかしたらこの
飲んだくれのおじさんは
生きる意味を見失い現実逃避している人間
の姿なのかもしれませんそして4つ目の星
で出会ったのが
多忙なビジネスマンでした
来客中にもかかわらずその男は顔すらあげ
ず一生懸命に何かを計算していました
話しかけてみると
彼は天空の星を自分の所有物にするために
なんと一つ一つの星を数え上げそれを延々
と足し算していたのですそんなことをして
何になるんだ
誰もがそう指摘したくなる場面ですがここ
には
物欲や所有欲に支配されることを愚かさや
おかしさが表現されていますそんな
たくさんの物を欲しがっている男に対し
王子は次のような質問をします
僕は腹を持っていますが
毎日水をあげていますまた火山も持ってい
ますが
毎日掃除もしています何かを持つという
ことはそれをいつも気にかけその者たちの
役に立つということだと思います
けれどおじさんは
自分の所有物である星を数えているだけで
その星たちに何か
役に立つことをしたんですかすると男は何
も返す言葉が見つからず
黙り込んでしまいます
ビジネスの目的は最終的に多くのものを
所有することなのかそれとも誰かの役に
立ちお互いに幸せになることなのかこの
ように王子は無邪気に内戦を促すような
言葉を放ち
次の星へと旅立っていきます5つ目の星で
出会ったのは
街頭に明かりを灯す
転倒係の男でしたこんな場所で明かりを
灯して何の意味があるんだろうけどこの人
はさっきまで会ってきた大人たちとは何か
が違うきっと
誰かの役に立つことをしているんだそう
思った王子が
店頭係に挨拶をしなぜ明かりをつけている
のかと尋ねますすると男は命令されている
からだと答えますこの星は1日が24時間
ではなく1分で過ぎるため
休むことなく転倒と消灯を繰り返さねば
なりませんでした
休みたい
眠りたいいつもそう願っていた転倒係の男
は
徹底的に管理され
過酷な労働を強いられる
自由らき労働者のシンボルだったのかも
しれません
王子はそんな真面目な店頭係を好きになり
ましたそして
誰かのために一生懸命に働いている彼と
なら
友達になれるかもしれないと思いました
しかしこの星は2人の人間が暮らせるほど
スペースに余裕がなかったため
王子は残念そうにその場を後にします
そして
6つ目ので出会ったのが分厚い本を眺めて
いる学者でした
彼は
海
川といったチリに詳しく自分が物知りで
あることを誇らしげに語りますところが
この星に海はありますか
山はありますかと
王子が興味津々に訪ねても学者の男は
わからないとしか答えませんなんと彼は
自分の部屋に引きこもりただ人から聞いた
知識を蓄えているだけで
自ら体験しようとしない学者だったのです
このように王子は6つの星をめぐり6人の
個性的な大人たちと出会ったわけですが
彼らには全員
孤独という共通点があります
友人もなく
共同体にも属さず世界ともつながらず
星の中でたった一人で暮らしているこう
いった大人たちの姿は
近年ますます深刻化している
社会的孤立の実態を浮き彫りにしています
先ほどの6名がどのように自分の孤独と
向き合っていたのかその態度を整理すると
次のようになります
様はつながれない寂しさを服従や支配に
よって叶えようとしうぬぼれ屋の男は
称賛の言葉で
自分の孤独を癒そうと試み
飲んだくれの男はお酒という手段によって
現実から目をそらし
孤独を紛らわしていましたまた
ビジネスマンはたくさんのものを所有する
ことで
満たされない心を満たそうとし
休まず働く転倒係の男はあまりに疲れすぎ
て
自分が孤独であることにすら気づいてい
ませんでした最後に登場した地理学者は
一見しますと
膨大な知識によって
世界とつながっている賢者のようにも思え
ますしかし彼は
第三者というフィルターを通してしか
世の中を見ようとせず能動的に世界と
関わることを拒絶していることから
自分の殻に閉じこもっている人といえます
王子はこの6つの星めぐりで出会った人
たちに違和感を覚え
変な大人だと表現するのですがそれは彼が
特別優れた存在でこの大人たちが
みんなダメだという
単純な二項対立ではありません
王子も薔薇との関係構築に失敗したった
一人で
広い宇宙をさまよう
孤独な人間の一人なのですただ彼と大人
たちを
決定的に隔てているのは
自ら世界や人と関わろうとする姿勢です
つまり
物語の中で
王子が一貫して示している
能動性こそが
孤独という問題を解決する
ヒントになっているのですそしてついに彼
は
地理学者の導きによって
7つ目の星地球にやってきますそこは
先ほどであったような大人たちが大勢住ん
でいる巨大で不思議な惑星でした
果たして彼は
地球でどんな気づきを得て
自分の星へと帰っていくのでしょうかさあ
というわけで3つ目のテーマ
断ち切ってはいけない絆に進み
王子の最後の冒険を見届けたいと思います
では行きましょう
王子は高い山に登ったこれまで知っていた
山といえば高さが膝までしかない3つの
火山だけだった
鋭く尖った岩山を見つめ
王子は叫んだこんにちは
誰か
友達になってよ
僕は
ひとりぼっちなんだ
長い間歩き続けていると
王子はようやく1本の道にたどり着いた
まっすぐ進んでいくとそこにあったのは
バラの腹が咲き揃う庭だったこんにちは
君たち
名前は何て言うの
花たちは一斉に薔薇だと答えたすると王子
は
途端に自分が惨めに思えてきたこんなのを
見たら
僕のバラは
ショックで枯れてしまうかもしれないな
それに
僕はこの世でたった一つのバラを持って
いるだから
僕は豊かなんだとそう信じていたのにでも
本当はありきたりのバラだったんだそう
言って王子は
草むらにして
涙を流したはいこころためます
孤独を感じていた王子がたくさんのバラを
見た途端情緒が不安定になり
涙を流すという場面でしたさてこれは一体
どういうことなんでしょうかこの時の王子
の涙の意味や
心情を理解するにはアイデンティティと
いう概念を押さえておく必要があります
アイデンティティとは一般的に
自己同一性と呼ばれ
すごく簡単に言えば
自分らしさとか自分が自分であることを
意味しますこれが確立されていると
物事を主体的に選択できるようになるため
自分の人生の指針を築きやすくなるのです
が一方でアイデンティティが確立されない
と
無力感に襲われたり
自己嫌悪に陥りやすくなると言われてい
ますただアイデンティティは人間に元々
備わっている感覚ではなく
自分とは全く異なる他者あるいは
社会から認められるというプロセスを経て
徐々に形成されていくものになります
王子の場合であれば
自分は世界でたった一つのバラを持って
いるということが
自分らしさを形成し自分を支える根拠と
なっていたのですが大量のバラが存在して
いるという現実がそれを容赦なく破壊した
のですこれはもちろん人ごとではありませ
ん人間は大人になっていくにつれて
世界が広がり
関わる人も増えそのたびに私なんて全然
大したことないじゃないか
自分の代わりなんていくらでもいるじゃ
ないかと
無力さやみじめさを味わうものですつまり
草むらに突っ伏して泣いている王子は自分
のアイデンティティが崩れ去る痛みに泣い
ているのでありそれは同時に
アイデンティティの形成に必要な
他社や世界とのつながりを失いつつある
今日の人間の姿を映し出しているわけです
果たして彼はこの危機的状態をどのように
して脱していくのでしょうかさあでは続き
を見ていきましょう
狐が出てきたのはその時だったこっちに来
て一緒に遊ぼう
僕は今とても寂しい気持ちなんだ
王子がそう言うと
キツネはこう言った
君とは一緒に遊べないよだって
僕と君はまだアプリボアゼしてないじゃ
ないかはいここから止めます
寂しくて仕方がなかった王子は
キツネと友達になろうとしますがなんと
アプリボアゼしていないという理由で断ら
れてしまいますアプリボアゼ聞き慣れない
言葉ですがこれはフランス語で飼いならす
とか
馴染みになるという意味なのですがここで
はシンプルに
愛情の絆を作ることだとご理解ください
その上でキツネはアプリボアゼについて次
のように説明します
僕にとって君はたくさんいる男の子の中の
一人でしかない君がいなくても
僕は構わないし
君だって僕がいなくたって構わないだろう
だって
君にとって僕はたくさんいるキツネの中一
匹なんだからけど
絆ができればそうじゃない
僕らはお互いが必要になる
君は僕にとって
世界で一人の男の子になるし
僕は君にとって
世界で一匹の狐になるんだでもアプリ
ボアゼするには
辛抱がいる最初は僕から離れて座るんだ
僕が君を横目で見ても君は何も話しちゃ
いけない
言葉はいつも誤解の元なんだそしていつも
決められた時間にやってきてほしいそう
すれば
僕もワクワクするしその時間がやってくる
のが楽しみになる
けれど
君が毎回適当な時間に来てしまえばいつも
僕はそわそわして
心が休まらないつまり
決まりごとがいるんだよはいここだと思い
ます一つ一つのセリフは可愛らしいのです
がその内容は哲学的でとても示唆に富んで
います
言葉はいつも誤解の元とあったように
言葉は人によって様々な解釈が可能であり
また
に嘘が混じるものですこれに対し行動は何
らかの目的があって行われるので言葉より
も嘘が混じりにくく一つ一つの振る舞いを
見ればその人の本性が見えやすいと言え
ますそこでキツネは
愛情の絆を結ぶには
言葉よりも行動を重視しなければならない
ことそしてその行動には常に相手への配慮
と
忍耐が求められることを教えてくれたの
ですこれによって王子はこれまで自分が
バラの言葉ばかりに注目し行動に目を向け
てこなかったことにハッとさせられます
そして
彼女が心地よい香りで包んでくれたこと
明るい気持ちにしてくれたことなどを
思い出しそれが自分への
愛情表現だったんだと気づくわけです
そして王子は
狐からもう一度バラ園に行くことを勧め
られると
素直にその言葉に従いますしかしどのバラ
を見ても先ほどのように
心が揺れ動くことはありませんでしたなぜ
ならそこには
王子と愛情の絆によってと呼ばれたバラが
一輪も最低なかったからですそして王子は
自分の薔薇は
世界で唯一の薔薇ではなかった
けれど
自分にとって
唯一無二の薔薇だったんだと認識を改める
ことで再び心のよりどころを取り戻し
崩れかけたアイデンティティの最高地区に
成功するのですそしてめでたく友人となっ
たキツネは
王子との別れ際にこんなメッセージを送り
ます大切なものは
目に見えない
心で見るんだこれまで君がバラに与えた
時間が
君のバラを特別なバラにしたんだ人間は
そんな大事なことを
忘れてしまったけど
君は忘れちゃいけない
君が時間をかけて
愛情の絆を作ったのなら
君はそれに責任を持たないといけない
君は自分のバラに責任があるんだ
はいここらと思います大切なことは目に
見えない
心で見るんだとありましたこれについては
様々な解釈ができますがここでは
薔薇と王子との関係性に焦点を当てたいと
思いますつまりバラの美しさとか
珍しさとか
表面的なものを見てそこに価値があると
思ってはいけませんとこれまであなたが
自分の薔薇に対し
水をあげたり
覆いをかぶせたり
話を聞いたりたくさん時間をかけてきた
でしょうとそうやって気づきあげてきた
バラとの関係性こそ
王子にとって本当に大切なものであって
その価値は
心でしか感じ取ることができないという
わけですもちろんここでのバラを
恋人とか
愛する人だけに限定する必要はありません
なぜなら
愛情の絆を結ぶことができる対象は人間
だけではないからです
例えば音楽を奏でたり
絵を描いたり
踊ったりすることで
自分自身を表現する人がいるように人は
何かをするという行為それ自体を愛する
ことができますところが人は大人になって
いくにつれて
良くも悪くも現実を知るようになります
そして人より上手にできないとかお金が
稼げないとか
忙しいからとか
様々な理由をつけて
愛する者との関係性を断ち切ってしまうの
です
愛情の絆を断ち切ることは
精神的なよりどころをなくすことであり
それはすなわち自分のアイデンティティを
危機に陥れることを意味しますそうやって
多くの人間たちが
愛情の絆をないがしろにし
疎外感や無力感に苦しんでいることを
キツネは理解していましただから彼は王子
に対し人間たちは忘れてしまったけど
君は忘れちゃいけない
君が時間をかけて
愛情の絆を作ったのなら
君はそれに責任を持たないといけないと
訴えたわけですつまり
自分が愛する者に責任を持つことは自分を
愛し自分の人生に責任を持つことでがある
のですこのようにして
王子の長い回想シーンが終わると
物語は冒頭に登場した
操縦士との場面に戻りますそして二人は
砂漠の中の井戸を探すというプロセスを経
てめでたく友人となりますその後王子は
薔薇に対する責任を果たすため
故郷の星に戻ろうとしますがあいにく帰る
ための手段がありませんそこで彼は
毒蛇に足首をかみつかせ自分の肉体では
なく
魂によってバラの待つ星へと帰っていくの
です
素直に解釈すればこれは肉体の消滅
すなわち死でありとても悲しい出来事に
思えますところがこの物語は
王子がいなくなっても
不思議なことに
悲壮感も
後味の悪さもありませんなぜこんな現象が
起こるのかもしかしたらそれは私たち読者
が
王子によってアプリボアでされているから
なのかもしれませんつまり彼と共に冒険を
し大きな壁を一緒に乗り越えたり
同じ
感情を共有したりしているうちにいつの間
にか私たちは
彼を好きになり
絆が結ばれただから王子が目に見えなく
なっても
心に気づかれた
彼との関係性の中にその姿をはっきりと
感じ取ることができるわけですもしかし
たら王子はこの広い星空のどこかで
自分に笑いかけているんじゃないかまた
いつかどこかで
会えるんじゃないかそんな希望をかすかに
残しながらこの物語は締めくくられるの
ですが
実はもう1ページめくると
操縦士の男から私たち読者へある
メッセージが記されていますそこには大切
なものは目に見えないという
作品のキーメッセージを最後にもう一度
伝えるんだというサンテグジュペリの
こだわりと
遊び心が表現されていますそれではその
パートを読み上げて今回の動画を終えたい
と思いますでは行きましょうこれが僕に
とって
世界で一番美しく一番切ない風景なんだ
前のページと同じ風景んだけどもう一度君
たちによく見てほしいと思って
書き直してみたんだ小さな王子はここで
地上に現れそしてここで消えてしまった
いつか君がアフリカの砂漠を旅する時この
場所がちゃんと分かるようにしっかりと
この景色を
目に焼き付けてほしいそしてここを通る
ことがあったらお願いだから
先を急がずに
星の真下で少し待ってみてほしいんだもし
その時一人の男の子が近づいてきて
からからと笑い
金色の髪を揺らし
質問をしても何も答えなかったらそれが誰
だか
君にはわかるだろうそしたら
すぐに僕に手紙を書きどうか教えてほしい
あの子が帰ってきたよと
はいというわけで星の王子さま以上で
ございますいかがでしたでしょうか
様々な解釈ができる作品ですが今回は人間
の孤独と愛という2つのテーマに焦点を
当て解説をしてまいりました
楽しんでいただけたでしょうか
ご興味を持ってくださった方はぜひ実際に
手に取って読んでいただけたらと思います
さてでは最後にお知らせでございますこの
度ブックコミュニティリベルの5回目の
募集がスタートいたしましたこの
コミュニティはとても心理的安全性が高く
和気あいあいとした雰囲気で読書会やオフ
会など
様々なイベントが日々行われています
読書やアウトプットの習慣を身につけたい
方
本について語り合える仲間が欲しい方日常
から離れた
新たな居場所や出会いを求めている方お
待ちしております
非常に居心地がいい環境ですのでぜひ今回
の星の王子様のようにぶらりと気軽に遊び
に来てください
締め切りは2022年12月31日ですが
定員になり次第
締め切らせていただきます
申し込みや詳細のご確認は概要欄のリンク
からお願いいたします皆さんとお会い
できることを心から楽しみにしております
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方は高評価コメントなどいただけますと
嬉しいですまたチャンネル登録もよろしく
お願いいたしますではまた次の動画でお
会いしましょうありがとうございまし